介護食用おかゆ

高齢化社会のニーズにこたえ、「粘度」と「かたさ」を調整したおかゆ

適度なとろみと舌でつぶせるやわらかさが特徴の手作り風のおかゆ。冷めてもお米と水が分離しないので、口の中でべたつかず、なめらかで食べやすい物性です。(写真1)
また、コシヒカリを100%使用し、お米のおいしさにこだわりました。
当社独自の二度炊き製法で、お米の粒感を残しながらふっくらやわらかく仕上げた、どなたにも食べやすいユニバサールデザインフードです。

※ユニバーサルデザインフード(日本介護食品協議会)

写真1: 「市販のおかゆ」と「介護食用おかゆ」の離水比較

研究のきっかけ

1998年介護保険制度導入の方針が打ち出され、高齢者が増えていく中で、お米を研究している私たちに何ができるだろうか?と考えました。介護といえば「おかゆ」、これをキーワードに情報収集を開始したのです。
そんな中、新潟大学歯学部長の山田好秋教授(当時)から、高齢になると食べ物がうまく飲み込めなくなることを聞きました。 そして、病院で聞き取り調査をしてみると、多くの病院・施設がおかゆをミキサーにかけて高齢者に提供しているという現状がわかってきました。 そのことを教授に報告すると、べたつきやすいミキサーがゆは飲み込みにくく、肺に誤っておかゆが入ってしまう(誤嚥)などのリスクもあると教えていただきました。
そこで、我々の米加工技術で、飲み込みやすいおかゆができないかと思ったのが開発のきっかけになりました。

研究内容

当時は嚥下や誤嚥のメカニズムがまだ深く研究されていなかったので、まずは飲み込みやすいおかゆとはどのようなものかを研究しました。
すると、市販のおかゆは冷えるとべたつきが高くなり、飲み込んだ後も喉に残ってそれが肺に入る可能性、時間が経過するとお米と水が分離(離水)してその水が肺に入る可能性があるということがわかってきました。

そこで、冷えてもべたつきにくく、離水しない特徴を持ったおかゆ作りの研究が始まりました。(図1、写真2)試作品第一号は非常にべたつきが低くて飲み込みやすい物性でしたが、モニターの方は全く食べてくれませんでした。 その時初めて、物性が飲み込みやすい以前に、食事としておいしくなければいけないということに気づかされました。 その後、殺菌条件や物性改良など試作を何度も重ね、ようやく飲み込みやすくおいしい改良品が完成し、皆さんから「おいしいね」と食べていただくことができました。

研究者の声

この商品は誕生当時から、開発メンバーと営業が一致団結し、全国へ聞き取り調査に回った賜物です。
シリーズのひとつである「ふっくらおはぎ」も、ある栄養士の先生の「白がゆを食べない高齢者でも、あんこを入れると食べる」というひとことがきっかけでした。おはぎと言われればそうかと思いますが、おかゆにあんこだなんてどんなに考えても思いつきません。足を使って情報を収集し続けることの意義を深く実感しました。
ますます進む高齢化の中、私たちになにができるのか? 「この商品があって良かった!もう食べられないと思っていたのに食べられてうれしい!」そんな声が聞こえてくるような商品をこれからも追求し続けていきます!