Interview社員紹介

あの「亀田の柿の種」のおいしさを
安定的につくるための解析技術

Kenta Y.

Kenta Y.

研究
お米総合研究所 シーズ開発チーム

Kenta Y.

研究
お米総合研究所 シーズ開発チーム

お米総合研究所 シーズ開発チーム 2014年入社
生物資源科学専攻(農学博士)。就職活動では製薬志望だったが、病気になる前に、食品で健康になることに興味を持つように。亀田製菓は「亀田の柿の種」のイメージだったが、ヘルスケア食品の存在を知り、入社を決意。1年目は商品開発本部で調味を担当。2年目から、お米研究所(現お米総合研究所)にて研究職へ。
※所属は2023年3月現在

感覚に頼っていた微妙な味の違いを、
数字で見える化

入社1年目は、商品開発本部で調味(味付け)を担当しました。任されたのはスーパー向けの主力商品の味変えです。スーパーに並んでいる「亀田の柿の種」や「手塩屋」などはブランドの鮮度を保つために約3か月ごとにシーズン限定の味を出すのです。企画チームから「こんな味をつくってほしい」と依頼がきて味をつくるのですが、私は機器分析を得意としていたため、つくった味を数値化して提案していました。「ちょっと辛く」など感覚的な要望では分からない。そこで0.5辛、3辛など指標をつくって見える化。それらが目に留まり、2年目に米菓の基礎研究チームの立ち上げメンバーにアサインされました。
チームを発足して初めての仕事は、研究テーマを創出するために社内の要望を多角的にヒアリングすることでした。製造現場の課題を洗い出したり、お菓子のトレンドや地域の米菓をリサーチしたり。その中から、食感や味、香りの数値化を通して商品開発に貢献するという研究テーマが一つ立ち上がったのです。

X線CTを使って、
米菓の命、「食感」の数値化に挑戦

この研究で印象的だったのは「口どけ感の数値化」を大学と共同研究したことです。これをきっかけに、私は大学に博士課程で再入学し、通常業務と2足のわらじで構造解析などについて学びました。博士研究ではこれまでにない取り組みとして、X線CTを使って米菓の内部構造を数値化し、食感との関係を追求。さらに、サクサク食感と油の染み込みとの関係を明らかにし、それらを総合的に評価して口どけ感の数値化を行いました。これらの研究によって、米菓構造や食感を目に見える形で議論することができるようになり、開発や工場に製造条件にまで踏み込んだアドバイスができるようになったのです。この研究と今後の開発の精度アップのためには、高額なX線CTを導入する必要があり、それがどう会社に貢献できるかアピールしたこともいい経験でした。承認に苦心する中、経営幹部に研究で使った「亀田の柿の種」の空洞構造を披露する機会を得ました。目で見える面白さ、分かりやすさを伝えることができ、見事導入となったのです。

「職人の勘」を数値化。
安定した製造に活かす

「亀田の柿の種」の中の空洞を可視化したことで、今まで割らないと分からなかった“中の状態”を把握することに繋がり、季節によって生地の膨らみ方に傾向があることなどの事実が見えてきました。理想とする数値を目指し、工場と協力して工程改善に取り組んだことで、品質の安定化に寄与。さらに、おいしさの見える化の取り組みとしてメディアの取材も受けるなど、さまざまな面で会社に貢献できたと思います。
これから挑戦したいのは、製造ラインのオートメーション化です。米菓の製造ラインは工程が多く、職人のワザが必要な「焼き」などの工程もあります。しかし、今後、労働人口が減ってくることを考えると、できるだけ全工程を自動化に近づけたい。その一環で、新しい機器の開発を行うなどのプロジェクトもスタートしています。今まで職人が担っていた繊細な部分を数値化するために、どのような測定方法や基準が必要なのか。それを考えるのが今の私の大きな仕事の一つです。長い挑戦になると思いますが、やがては制御室から少人数で工場を動かせるようにしたいです。みんなの好きな「亀田の味」はそのままに。

エントリー & マイページはこちら