先端のマシンにするだけでは、
「亀田の味」を守れない難しさ
私は、偶然、亀田製菓のインターンシップに参加したことで、米菓の製造に機械系エンジニアが重要な役割を果たしていることを知りました。そして、米菓をつくる機械は独自性に富み、自社内で創意工夫をしながら設計していることを知り、食品業界のエンジニアに興味を持つように。考えてみれば、チョコやクッキーのような海外生まれの菓子に比べて、米菓を製造する機械は国内で独自に発展してきたものが多いように思います。ここにしかない機械たちと向き合えるって魅力的だな、と思ったのです。
そして、設備設計として入社してすぐは「餅・団子づくり、冷蔵、乾燥、焼成、味付け、包装」など米菓の製造に必要な工程や設備の知識を学び、工事の施工管理も経験しました。印象的だったのは、重要工程である米菓のもととなる餅や団子をつくる工程の老朽化設備入替工事でした。私たちの仕事はただ機械を入れ替えるだけではありません。小型化や工程短縮をコンセプトとした設計を行うとともに、品質を落とさずに同じ味を保つという使命があります。工場の担当者や開発部門の品質担当者、外部業者の方々との協議や試作を重ねることでようやく達成することができました。
新技術を扱うビッグプロジェクトで
IoTを応用したスマート工場に
設備設計は現場からはもちろん、機械メーカーの方や、さらにその部品やシステムをつくっている会社の方までいろんな方との出会いから学べる仕事だと思います。新人時代から展示会や商談に参加し、「このセンサーを使ってこんなことができないか?」など上司や機械メーカーの方にアイデアをぶつけて知識を深めていきました。
そうして経験を積みながら、興味のあったIoTやDXの勉強をしていた際に、上司から「ライン増強の際に、新しい技術を取り入れるからチャレンジしてみない?」と声がかかりました。それは、現場の担当者の‟勘“や“コツ”による調整作業が多く残っている工程で、今まで取れなかったデジタルデータを収集、管理、応用するというビッグプロジェクト。IoTの活用による機械状態や品質情報の各種センシング、タブレットを用いた新しい操作方法の導入など、昔ながらの製造現場からスマートファクトリーへの足がかりとなる取組みです。設計側がよかれと思った設定も、実際に機械を使う現場の担当者にとっては使いにくかったりと調整を重ねながら搬入し、実際にタブレット操作で稼働できた時の達成感はひとしおでした。